May 30, 2011
トロッコ倉庫に関するお話 その1「建築様式」 【トロッコ倉庫/深川】
ご存知の方も多いと思いますが、唐津は著名な建築家たちの出身地として有名です。
その建築家の中に辰野金吾と曽禰達蔵がいます。
2人とも数多くの建築を世に生み出してきましたが、
唐津にも2人が設計に携わった建築が残っています。
その一つが曽禰達蔵が設計した、上写真の「旧三菱合資会社唐津支店(歴史民俗資料館)」です。
日本でも数少ない洋風明治建築の一つで県・市指定重要文化財となっています。
歴史民俗資料館の敷地内には、同年代につくられたと考えられる小さな離れがあります。
建築様式は「擬洋風建築」と言われるものです。
擬洋風建築とは、明治初期に日本人の職人達が日本に入り始めきていた西洋建築の限られた情報を参考に、見よう見真似でつくった建築のことです。
大きな特徴は、瓦屋根と、杉板を鎧張りた下見板壁という外観です。
田舎の小学校などの木造校舎で見られる建築様式です。
みなと松原に程近く、またトロッコ倉庫の建築規模から考えて、
これをトロッコ倉庫の建築様式として取り入れることにしました。
設計したトロッコ倉庫の1/10模型です。
大きさは敷地面積約10㎡、高さ約3mとなっています。
内部の構造です。
屋根の構造は方杖を使ったトラス構造としました。
真上に伸びる方杖により、低い天井をなるべく高く見せる演出をしています。
部材の結合は基本的にボルトを使います。
出来上がりは小さい小屋ですが、
その実物が擬洋風建築としてどのように見られるか非常に楽しみです。
(※辰野金吾が唐津で設計監修として携わったのが「旧唐津銀行本店」です。
その「旧唐津銀行本店」が先日リニューアルオープンしました。詳細はこちら。http://karatsu-bank.jp/)