高尾は昨年度から佐賀県景観アドバイザーに就任し、佐賀県内の市町の景観担当者を対象とした景観研修の講師をつとめています。7月21~22日に開催した第1回では、景観法の基礎に関する講義、佐賀市景観計画の事例報告(市担当者とともに)、由布市の景観行政の事例視察@湯布院(市担当者とともに)を行いました。
続いて今年度の第2回として開催した8月31日には、吉野ヶ里公園周辺地区を対象とした景観計画を題材として、これを地区住民に説明するためのストーリーをつくる、という演習を行いました。法律、地域の景観特性と課題、地域づくりの経緯、関係者の意向等を総合的に考えながら、プレゼンストーリーをつくっていくという合意形成演習としました。
私自身初めての試みでしたので、準備には力をいれてきました。県担当者とともに関係者ヒアリングを行い、プログラムについて議論を積み重ねました。それでも当日を迎えるまで不安もありましたが、蓋をあけてみれば、参加者のみなさんがすごく熱心に議論、発表をしてくださり、大盛況でした。
後日参加者からのアンケートが届きましたが、「時間が足りなかった。もう少し時間があればもっときちんとした発表ができたと思う」「合意形成のポイントや手法が学べてよかった」「景観研修というよりは職員研修だと思った。他の部署も対象としてよいのでは」等の積極的、肯定的な意見をいただきました。ほっとしました。
公園を管理している管理事務所長も研修の結果を受けて早速植栽管理について関係者との協議をはじめてくれたとも聞いています。地域にとってもよい研修となったのならとても嬉しいです。
なお、研修の準備については、関係者ヒアリングや現地調査、県担当者との打合せ等にM2の西村さんも一緒にまわり、当日もアシスタントとしていろいろと手伝ってくれました。私も県担当者も助かったと思いますし、西村さん自身も得るものの多い研修となったと思います。
今年の反省点は来年度以降に活かしていきたいと思います。
出会いと発見DIARY
前夜祭に引き続き、28日の海辺の祭典では西の浜でマリンスポーツ体験を行いました。
唐津でしか体験できないことを通じて、唐津の魅力を多くの人に感じてもらうというイベントです。
この日は絶好の海日和でした。
隣ではペーロン・レガッタ大会が開催していました。
マリンスポーツ体験はバナナボート、カナディアンカヌー、屋形船、湾内クルーズ、無人島体験とどれもおもしろそうなものばかりです。
子供たちも楽しそうで、唐津の魅力を十分に感じたと思います。
スタッフとして参加したこの2日間は本当に唐津漬けな感じでした。
トロッコ倉庫の作業で何回も来たことはありましたが、こんなにじっくりと唐津の海辺を眺めたことは初めてでした。この風景を眺めていると唐津の海辺の良さがわかる気がしました。
こうしたイベントによってもっと多くの人に唐津の魅力を知ってもらえたらいいなぁと思いました。
8/27、28に唐津でcastlebay2011海辺の祭典が開催されました。
九大もスタッフとして参加しました。
27日の前夜祭では二夕子三丁目倉庫で音楽ライブとカフェ&バーが行われました。
この会場はトロッコ倉庫の作業を行っていた場所です。
普段の倉庫から大分雰囲気が変わりました。
ライブでは様々なジャンルの地元ミュージシャンの方が出演しました。
日が暮れて外が暗くなると、また雰囲気が変わりました。
使わなくなった倉庫を今回のイベントのように違った形で利用するのはいいことだなぁと思いました。普段日常にない雰囲気がいい感じでした。
このような再活用はまちづくりにとって大切なことだと感じました。
そして、前夜祭は無事に終了。
スタッフの皆さんにとっても次の日に向けての弾みになったのではないでしょうか。
由布院盆地には統一案内標識や案内看板が所々に設置されていますが、古くなって文字が読めなくなっていたり、下の写真のようにあまりに多くの情報が記載されているため逆に見にくくなっていたりと、十分な誘導・案内効果を発揮できていないという問題があります。
また、盆地内に目印になるようなものも少ないため、外から訪れる人が道に迷いやすいだけではなく、由布院内の人も道案内がしにくいという状況もあります。
そこで、観光協会、旅館組会を中心に、誘導サインや案内看板、観光マップの改善に向けてプロジェクトが立ち上がりました。
今回は、阿蘇のサインガイドラインを参考事例に勉強会を行い、由布院のサインの現状の把握、新たなサインシステムについての議論を行いました。
意見交換の中では
・設置場所によってサインに求められる役割が違うので、既存の統一案内標識も場所によっては利用できる
・由布院の場合、訪れる人のニーズが様々なので、その点の考慮が難しい
・目的地までの誘導とあわせて駐車場への誘導も重要
などの意見が出され、ゾーンやエリアに分けた誘導方法についての提案も行われました。
今後は、阿蘇の事例を参考に、サインの設置場所に合わせた段階的な誘導サインシステムについて、以下の点をポイントに更に検討を進めていきます。
・自動車系と歩行者系に分けて考える
・エリア分けと、拠点となる施設選びが必要
・どういうルートで、どこに連れて行くかの戦略づくりが必要
五島プロジェクトは今年も続いています。平成20年度の市全域景観計画の検討、平成21年度の久賀島景観まちづくり計画の検討、平成22年度の奥浦地区景観まちづくり計画の検討に続き、平成23年度は五島市公共事業デザインガイドラインとその運用体制の検討を行っています。
この検討は、五島市の美しい風景に調和した公共事業を推進していこうとする五島市の強い意志から検討が始まりました。福岡大学景観まちづくり研究室(柴田久准教授)との共同研究で行っています。私は、これまで国や学会、自治体でつくられてきたデザインガイドラインを参考としながら、風景と調和した美しい構造物の実現に加えて、そこで暮らす人々のニーズにきめ細かくこたえ、喜んでもらえる、利用してもらえる、市民の暮らしを支える社会基盤整備の推進につながっていくガイドラインとしたいと思っています。
良いものをつくっていこうとすれば、それは最終的には「つくり手」に帰属します。ですから、ガイドラインの内容も大事ですが、それを使う人々の意識、使うプロセス、使う体制が重要になると思っています。ですので、担当者と大学で一方的にガイドラインをつくってしまうのではなく、公共事業に関わる行政職員(技術職員)と勉強会を開催し、意見交換をしながら、ガイドラインの内容を検討していくこととしました。
勉強会の開催に際して、関係各課にお送りした文書は以下のような内容としました。
「建設課では、平成19年の「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の世界遺産暫定リスト登録を契機として、平成20年度より五島市景観計画、重点地区景観計画(久賀島、奥浦地区)、景観まちづくり計画(久賀島、奥浦)の検討、策定を行なってきました。また、あわせて、「堂崎教会駐車場」や「五輪地区への道」等の改修事業において周辺景観に配慮した整備を進めてきました。
こうした一連の取り組みでは、それぞれの地区の住民の皆様と、市民委員会、まちづくり協議会、市民ワーキング、小学校ワークショップ、町内会説明会、個別説明会等の場を設けて、話し合いを進め、住民の皆様とともに考えるプロセスを大切にしてきました。
私たちは、こうした取り組みを通して、景観行政とは、単にものの見た目をきれいに整えることではなく、その地域に本当にふさわしい整備、その地域に本当に必要とされている整備のあり方を考えることだと考えるにいたりました。そして、国の重要文化的景観選定や世界遺産登録も、こうした姿勢の延長線上にこそ実現可能なのだと理解するにいたりました。
そこで、庁内勉強会では、五島市の歴史や環境を大切にしながら、五島市民の暮らしを支える公共事業のあり方を皆様とともに考えたいと考えております。私たちの世代だけではなく、私たちの子や孫の世代まで喜んでもらえるような、より良いものづくりを五島市に一つでも多く実現していきたいと考えています。」
その第1回目が8月22日午後と23日午前に開催されました。職員の参加しやすさに配慮して同じ内容で時間帯を変えて二回開催しました。第1回目は、担当者からの趣旨説明、私から事前に回答していただいたアンケート結果の報告に続き、柴田先生に「景観の基本と五島市の公共事業のあり方」と題して講義をしていただき、皆で意見交換しました。アンケート結果もとても積極的でしたが、意見交換も真剣な質問や意見をたくさんいただきました。
次回は10月20日午後と21日午前に開催予定です。公共事業における住民参加プロセスのポイント、五島市での最近の取り組み(堂崎教会駐車場や五輪の道等)のプロセスを紹介し、また意見交換する予定です。
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