風景と地域づくりの
出会いと発見DIARY
一般社団法人LSDは、プロジェクトや研究を通じて、九州各地の風景・地域づくりに取り組んでいます。地域の人達と未来を語り合う、デザインについて現場で喧々諤々議論する、素敵な風景や食文化を見つける、地域の人達との長いお付き合いが始まる…風景・地域づくりの中で、たくさんの出会いや発見、感動が生まれる毎日。そんな日常をお伝えしていきます。
April 21, 2013

唐津模型制作【唐津/行徳】

今年度始めのプロジェクトは唐津の模型製作です。
唐津市では、平成16年にみなとまちづくり懇話会が設置され、唐津港を将来どのような港にしたいかを地元の方々が真剣に議論し、市民協働のみなとまちづくりが行われてきました。九大景観研もみなとまちづくりに参加し、継続的にお手伝いをさせていただいています。
懇話会では、みなとまちづくりのあるべき姿や地域が考える基本的な方向性などについて議論を重ね、平成17年には唐津港一体の将来像をまとめた「地域素案」が完成しています。
みなと周辺で実際に事業が行われる際にはデザイン専門家会議(懇話会の組織)により、地域素案にもとづいて具体的なデザイン案の検討が進められてきました。
現在まで、松原の会の植樹活動、Aゾーン、Bゾーン、フェリーターミナル、水産会館、水産埠頭線、人道橋、トロッコ倉庫など、懇話会やデザイン専門家で考えられてきたみなとまちづくり案の実現に向けて事業が取り組まれています。
今年度唐津市では、グランドデザインを考える会が開き、これまでの事業を通して少しずつ考えられてきた具体的なデザイン案の取りまとめを行います。
みなとまちづくりの一部である大島では、30年前に大島市民の森公園が整備されていました。
この公園では様々な種類の木々や動物と触れ合え、唐津の市街地や海を望める展望台が整備されていました。
しかし、30年たった今は予算の関係で木の維持管理が行き届いていません。
成長した木により頂上付近の展望台から眺望は望めず、園内は木々が生い茂り地元の人があまり利用してない状況にあります。
現在、大島公園の再整備に向けて展望部会が開かれ、大島公園の再生に向けて唐津市や地元の方とともに議論が行われています。
九大では、今年度のグランドデザインを考える会に向けて大島から西の浜までの模型を作成することにしました。
今回は作成範囲も広く唐津港全域について考えるために1:1000スケールとし、3枚の合板(1830×915)を使用して模型を制作することにしました。
まずは、5月14日に開かれる第3回展望部会に向けて大島公園周辺地域から作成することとしました。
大島公園周辺地域についてはこれまでデザイン専門家会議で具体的なデザイン案について検討されていないため現況模型を作成します。
この現況模型をもとにして、大島公園の整備案を検討していきます。
大島は高さ176mで、地形図では等高線が2m毎にひかれているため、2mmスチボを使用して計88枚のスチボを積み上げたコンター模型を作成します。
軽量化を図り、スチボの使用料を少なくするために今回は中を空洞にして作成します。
また、B2サイズスチボを使用するため大島を右上、右下、左上、左下の1/4に分割し、これらを組み合わせることで大島を作成することにしました。

空洞作戦は5枚のスチボに同じ地図を貼り、等高線5本分毎 (0m,10m,20m,30m)(2m,12m,22m)(4m,14m,24m)にそれぞれ切り抜いてパーツを作成していきました。

次に切ったパーツを2m,4m,6mと右下、右上、左下、左上毎に積み上げていきます。
ここまでは先生にアドバイスをもらい、新入生もフル稼働しながら順調に作業は進んでいきました。
しかし、、、、、、
模型の積み上げが半分程度終わったところで確認のために右上、右下、左上を合わせてみると、、
あいません。何度やっても。
パーツを切る精度は良かったのですが、重ねていく作業の精度が悪く、1/4パーツを連結させると水平方向にズレが生じてしまったのです。
また、研究室にもともとあった2mmスチボと新しく買った2mmスチボの高さが微妙に違う(新しいものは2.1〜2.3mm)ため1枚程度の使用では問題がないものの数十枚重ねた時に鉛直方向にも高さのズレが生じました。
製品の微妙な違いはあったもののこの2つの問題は、全体を確認せずに部分で作業を行っていたために発生してしまったものです。
この問題はスチボを切断するだけで解決できるものではなかったため、最初から作業をやり直すことにしました。。。。。
これらの問題を共有した上で対応策として、1/4パーツカットを行ったあとは大島の地図の上に1段ずつ境界を調整しながら重ねていくことにしました。

1回作業は行なっているので以前よりもスピードは早く、全体のできあがりを確認しながら作業を行います。
特に境界部分には注意を払いながら、スチボを積み重ねていきます。

B2サイズ1枚に収まる高さより上の部分は1枚でカタチをとりながら完成させていきます。
80段以上ものコンター模型で、中は空洞であるため様々なところにズレが生じますが一つ一つ調整しながら積み上げて行きました。
下には土台を作成しています。

大島ひとまず完成です。
次は建物の高さ、道の調査のために現地に向かいます。
今回使用している地形図が20年前のものなので、現地調査で現在の大島について調べます。
この模型を使用して地元住民の方に見てもらう際、まず何に注目されるのか?
そう、自分の家です。
もし自分の家がなかったら、もし隣に今はない建物が建っていたら、この模型の信用にもかかわり地元の方にリアリティを持ってもらうための大事な要素です。
現地調査頑張ってきます!

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