舟甚杯!【ヨット/鮫島】
こんにちは。
出船前の船長会議。みんみん丸からは深川さんが参加しています。レースの基本的なルールやコースについての注意や説明が主催者側からなされました。
レース開始は11:00ちょうどです。漁港隅の赤い灯台と、その延長線上の100mほど先に設置されたオレンジのブイがスタートラインいなります。ヨットレースは陸上競技なんかとは違い、スタートラインにみんな並んで一斉にスタート、ということはできません。スタート時間の11:00ちょうどにスタートラインを越えるように船をうまく調整しなければなりませんが、それまでの船の動かし方や場所取りなど、スタート前から熾烈な駆け引きが始まることとなります。
僕たちみんみん丸は、綿密な作戦会議の元、10:59分に船を反転させ、風に乗った状態でスタートを切ることにしました。そのために帆の張り方や船の向きの角度を丁寧に調整しました。
先日の16日に、樋口先生が家族同様ににかわいがっておられた愛犬のゴンタ君が14歳の生涯を終えました。ゴンタ君は海で遊ぶのがとても好きだったようです。船に乗るのは苦手だったみたいですが、このみんみん丸の船体の先にはゴンタ君を模したステッカーが貼られています。今日はそのゴンタ君のメモリアルレースということで、絶対に負けるわけにはいきません。クルー一同気合が入りました。
11:00分、ついにレーススタートです。みんみん丸はとてもいいスタートを切ることができました!スタート時点ではおそらく1、2番手だったでしょう。順調な滑り出しです。
このまま神集島沿いに反時計回りでコースを回ります。神集島を一周し、スタート地点までいかに早く帰ってこられるかの勝負になります。前半の半周は北風を横から受ける形になります。帆を船体の右側に張り出して船を走らせます。
開始15分を経過すると、神集島の島影に入り、先頭集団と後列で差がつき始めました。僕たちみんみん丸は先頭集団に食らいついています。4、5番手争いといったところです。近くの船に風を奪われないように船の位置や風向きを見極めながらコースを走っていきます。
レースも半分を過ぎようとしたあたり、突如後ろから一船が迫ってきました。上の写真がその快速で有名な船、「破天荒」です。ぐんぐんスピードに乗って僕らに追いつき、悔しいですが追い越されてしまいました。レース船には形や大きさなど様々なものがあり、どうしても地力の差は出てしまいます。そのため、スタートダッシュや風の捕まえ方がとても重要になってくるのです。破天荒にここまで追い抜かれなかったのですから、やはり僕らのスタートダッシュはとてもうまく決まっていたのではないでしょうか。
コースも半分を過ぎ、神集島の反対側に回ってきました。この時点ですでに後方集団は遥か彼方で、僕たちみんみん丸はまだ先頭集団に食らいついています。
今度はジブセイルを左側に張り出し風をもらいます。このような帆の向きを変える作業はこれまでの練習で何度も行ってまいりました。今日は右側のジブシートを宮崎さん、石橋さんコンビが担当し、左側のジブシートを深川さんと鮫島が担当しました。僕は基本的に先生や深川さんの指示を受け、その通りに動くということしかできませんでした。本当はクルーの一人一人が風向きを見ながら自分で考えて帆の調整をしなければならないのですが、まだそのレベルには達していません。レースのような真剣勝負の中で、足手まといにならないように動くことしか考えられなかったのは、とても悔しいことでした。
レースも終盤にさしかかり、僕たちみんみん丸は苛烈な5位争いの真っ只中に居ます。右前方を行く二隻の船をここから一気に抜き去りにかかります。そこで、強力な切り札「スピン」の登場です。スピンとは色鮮やかな大きな帆で、ヨットレースの華と言えるでしょう。これをうまく使うことがレースのカギを握ります。
スピンを張り、一番手前の一隻をすぐに追い抜きました!このままもう一隻も追い抜きたいところです。
しかし、ここでスピンが絡まるという不運に見舞われてしまいました。。。なんとか体制を立て直したものの、ゴールラインはもう目の前に迫っています。目の前の船もなんとか僕らに追い抜かされないように、棒を使って大きく帆を張り出しながら必死に順位を守っています。
相手の真後ろに回り込むことで風を奪い、勝負に出ます。深川さんの上手な操舵であと一歩のところまで迫りましたが、力及ばず。
12:15分、全体で6位でのフィニッシュとなりました。
後方集団の船も港に戻ってきて、表彰式が始まります。
先述のように、船には様々な形、大きさがあり、レース前にハンディキャップが設定されています。このハンディによっては順位が大きく入れかわることもあるのです。
そして、いよいよ結果発表です。
なんとみんみん丸はクルーザー部門で準優勝することができました!
もうダメかな、と思っていただけにこの結果はとても嬉しいものでした。表彰式では焼肉やさんまが振舞われ、美味しくいただきました。
宮崎さんと準優勝の文字が刻まれた記念賞品です。
この盾は亡くなったゴンタ君のお墓の横に捧げられることになります。本当に結果が残せてよかったです。
こうして、今年のヨットレースは大満足の結果とともに幕を閉じました。
しかし、ヨットレースとは別に感じたこともあります。それは参加者の平均年齢がとても高いということです。
若い世代で参加していたのは、僕たち九大チームの他に佐賀大の学生が数人といったところでした。このまま高齢化が進めば、段々利用者も減少していくことでしょう。
この大会の主催者舟甚さんは昔から湊漁港で造船業を営んでいます。湊漁港、地域の発展をのためにいつも苦心していらっしゃっていて、
この前はうちの研究室に、造船所横の広大なスペースをもっと港の利用者が増えるためにうまく利用できないかという相談を持ちかけてきてくださいました。
若者がもっと湊漁港を訪れてくれるようになるためには、海のアクティビティに対する関心を高める必要が有ります。この年齢でヨットの奥の深さを知れた者として、また、湊漁港の発展に努める舟甚さんのためにも、何かできることはやっていきたいと感じました。
最後になりましたが、お忙しい中参加してくださった石橋さん、宮崎さん、深川さん、本当にありがとうございました。
また、当日は都合が合わず参加できなかったものの、ヨットの練習に付き合ってくださった伊東さん、牛房さん、平野さんにも深く感謝しております。来年こそは一緒に出場できれば幸いです。