今年の主な出来事(その3):直方駅旧車寄せのモックアップ
九大景観研は、遠賀川河川敷の改修事業に参加させていただいて以来、直方市中心部を元気にする取り組みでもいろいろとお手伝いさせていただいています。
今年も幾つかのプロジェクトで頑張りました。その一つが、旧直方駅車寄せの保存事業のお手伝いです。
旧駅舎が解体撤去される際に、駅を愛する市民の方々の声を受けて、直方駅のシンボルであった車寄せのみですが、部品が直方市役所により保存されました。今年になって、この車寄せを新しくなった直方駅前のシンボルとして復元しようということになり、壬生市長から九大景観研に「どんな復元が良いか考えてください」とのご依頼をいただきました。
九大景観研の得意技のひとつは、こうした場合にすぐ「モックアップ(実物大の模型)」を作ってしまうこと。今回もそうすることにしました。実物大の模型を設置予定地に据えてみれば、小さな模型を使うよりもはるかにリアルな議論ができるというものです。
製作を担当してくれたのは、研究室の学生さんたち。中心は四年生の三人(日下部君、佐々木君、藤村君)です。材料は九大農学部他が今年伊都の新キャンパスに移転する際に発生した大量の使用済みダンボール箱。どうすれば軽くても十分な強度のある模型が作れるかを試行錯誤しながら、数週間後にはかなり正確なモックアップが完成しました。
現地検討会前日に市役所の皆さんにも手伝っていただいて沢山のパーツを伊都キャンパスから直方に搬入し、翌日早朝から皆で組み立て、予定時刻までに無事完成させることができました。
おかげさまで検討会には大勢の市民の皆さんが参加してくださいました。参加者からの様々なリクエストに応じてモックアップを持ち上げて動かす作業を何度も繰り返しの10月15日、ベストのレイアウトを皆で考えました。
この日のことを西日本新聞が記事にしてくださっています。以下のURLでご覧いただけます。
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/f_chikuhou/article/460437/
参加してくださった市民の皆さん、裏方仕事を手伝ってくださった市役所の皆さん、壬生市長さん、研究室の学生諸君、本当にお疲れ様でした! この成果が車寄せの復元に役立つことを心から願っています。

解体される前の直方駅車寄せ。柱がエンタシスになっているなど、凝ったデザインの木造構造物でした。

伊都キャンパス中からかき集めてきた大量の使用済みダンボール箱。

トラス部分の組み立てが一番むづかしい。力を合わせて頑張りました。

いよいよ梁が入ると、それっぽくなってきます。

直方駅前の市有地で組み立て完了したモックアップ。当日お招きしていた地元の皆さんばかりでなく、たまたま通りかかった方も加わり、どの位置にどの向きで設置すればいいかを熱心に議論していただきました。

「想像していたよりもうんと大きいねー」。組み立てたモックアップを見ての壬生市長はじめ皆さんの感想です。屋根庇があればさらに大きくなります。

集まられた市民の皆さん、市役所の皆さんの熱い視線の先に、ダンボール箱製のモックアップがあります。