サスティナブルデザインから始めましょう
これまでの四半世紀、僕は大学に籍を置く研究者の立場で、川や公園、橋や街路などを主な対象として、成熟社会に相応しい質の高いデザイン、地域の環境や歴史文化と調和したデザインとはどうあるべきかを考え、模索し、自分なりに実践してきました。
それまで人が寄り付けなかった人工的な川を誰でも快適に利用できる親水空間へと変貌させたデザイン(写真1)、線路敷跡を鉄路の思い出が感じられバリアフリーとエコロジーにも配慮した公園空間に再生したデザイン(写真2)、地域を元気にするために歴史的な集落の暮らの姿と美しい風景をトレイルルートで体験できるようにしたデザイン(写真3)など、地域の皆さん達と一緒になって様々なデザインアイデアを試し、実現してきました。
そうした取り組みの中で強く感じるようになったことがあります。この国はかつてとってもサスティナブルな社会であったこと、地方にいくと今でもその作法や風景が残されていること、そして、それらは今求められている新しい社会のあり方を考えていく上でとても大きな手がかりになる、ということです。
例えば最近よくお邪魔する南阿蘇村には、無数の古い石垣群やアーチ橋があり、今も使われています。カルデラ内の傾斜地には大切な水を農地まで届け続けている用水路が縦横に巡っています。これらのほとんどは熊本地震でも壊れませんでした。まだコンクリートが無かった時代、木材や石材、そして湧水など地域で手に入る自然の恵みを巧みに使い、自然と共生しながら暮らしていくため培われた知恵や作法です。理にかない、サスティナブルで、地域の風景に美しく溶け込んでいます。
それまで人が寄り付けなかった人工的な川を誰でも快適に利用できる親水空間へと変貌させたデザイン(写真1)、線路敷跡を鉄路の思い出が感じられバリアフリーとエコロジーにも配慮した公園空間に再生したデザイン(写真2)、地域を元気にするために歴史的な集落の暮らの姿と美しい風景をトレイルルートで体験できるようにしたデザイン(写真3)など、地域の皆さん達と一緒になって様々なデザインアイデアを試し、実現してきました。
そうした取り組みの中で強く感じるようになったことがあります。この国はかつてとってもサスティナブルな社会であったこと、地方にいくと今でもその作法や風景が残されていること、そして、それらは今求められている新しい社会のあり方を考えていく上でとても大きな手がかりになる、ということです。
例えば最近よくお邪魔する南阿蘇村には、無数の古い石垣群やアーチ橋があり、今も使われています。カルデラ内の傾斜地には大切な水を農地まで届け続けている用水路が縦横に巡っています。これらのほとんどは熊本地震でも壊れませんでした。まだコンクリートが無かった時代、木材や石材、そして湧水など地域で手に入る自然の恵みを巧みに使い、自然と共生しながら暮らしていくため培われた知恵や作法です。理にかない、サスティナブルで、地域の風景に美しく溶け込んでいます。
この法人を立ち上げた目的は、第一に、サスティナブルな暮らしを支えてきたこうした素晴らしい知恵や作法を地域資源循環・グリーンインフラ・創造的災害復興などの新しい概念と融合させることにより、二酸化炭素排出量の削減や地域防災力の向上に役立つ新しい公共空間や社会基盤のデザインを地域の皆さん達と一緒になって研究・開発・実装していくことです。
第二の目的は、そうしたアプローチを通じて地域の文化、美しい風景、環境を修復・再生していくこと、さらにエコツーリズムなどの観光振興や雇用機会の創出を誘発し、地域力の向上に貢献していくことです。
最近よく耳にするSDGsとは、2015年に国連総会で採択された持続可能な開発のための国際目標のことです。ですが、「持続可能」と「開発」とは本来対立する概念。それを両立するなんて本当に可能なのでしょうか?
二酸化炭素など温室効果ガスの削減を目指し2016年に発効したパリ協定の目標がすでに達成困難になっていることを見ても、簡単なことではないのは明らかです。
それでも、これから生まれてくる子供たちのこと、この星に暮らすたくさんの生き物のことを思うと、何もしないでいるわけにはいきません。思いのある人一人一人ができることから少しずつやっていくしかない、と思います。
SDGsの達成は一筋縄ではいきません。でも、サスティナブルなデザインで地域を強く元気にしていくことは、すぐにでも始められます。
ふるさとを元気にするため、子供達の未来を少しでも良いものにするために日々頑張っていらっしゃるみなさん、地域再生や防災など多くの課題を抱え奮闘されている首長や行政職員のみなさん、一度お話しませんか?ご連絡をお待ちしております。
一般社団法人LSD代表理事 樋口 明彦
携帯:090-3070-5376
メール:info@lsd.or.jp
第二の目的は、そうしたアプローチを通じて地域の文化、美しい風景、環境を修復・再生していくこと、さらにエコツーリズムなどの観光振興や雇用機会の創出を誘発し、地域力の向上に貢献していくことです。
最近よく耳にするSDGsとは、2015年に国連総会で採択された持続可能な開発のための国際目標のことです。ですが、「持続可能」と「開発」とは本来対立する概念。それを両立するなんて本当に可能なのでしょうか?
二酸化炭素など温室効果ガスの削減を目指し2016年に発効したパリ協定の目標がすでに達成困難になっていることを見ても、簡単なことではないのは明らかです。
それでも、これから生まれてくる子供たちのこと、この星に暮らすたくさんの生き物のことを思うと、何もしないでいるわけにはいきません。思いのある人一人一人ができることから少しずつやっていくしかない、と思います。
SDGsの達成は一筋縄ではいきません。でも、サスティナブルなデザインで地域を強く元気にしていくことは、すぐにでも始められます。
ふるさとを元気にするため、子供達の未来を少しでも良いものにするために日々頑張っていらっしゃるみなさん、地域再生や防災など多くの課題を抱え奮闘されている首長や行政職員のみなさん、一度お話しませんか?ご連絡をお待ちしております。
一般社団法人LSD代表理事 樋口 明彦
携帯:090-3070-5376
メール:info@lsd.or.jp
写真1
写真2
写真3
LSDは「Laboratory for Sustainable Design(持続可能なデザイン研究室)」の略ですが、「Long Slow Distance(長い道のりを急がずゆっくり走っていこう)」という思いも込めています。まちづくりは時間がかかるものですから、ゆっくりじっくり、楽しくやっていこう、というわけです。
「Lysergic Acid Diethylamide(リゼルグ酸ジエチルアミド、幻覚剤の一種)」を連想した方は僕と同じか少し上の世代の方でしょう。先が見通せず閉塞感で息の詰まる今日、まともなことをやっていては大きな変革は起こせません。時にはサイケデリック(死語ですが)になってみることも必要なのかも…
「Lysergic Acid Diethylamide(リゼルグ酸ジエチルアミド、幻覚剤の一種)」を連想した方は僕と同じか少し上の世代の方でしょう。先が見通せず閉塞感で息の詰まる今日、まともなことをやっていては大きな変革は起こせません。時にはサイケデリック(死語ですが)になってみることも必要なのかも…
学歴 | 昭和56年3月 | 東京大学農学部卒業 |
昭和58年3月 | 東京大学工学部卒業 | |
平成 2年 6月 | コーネル大学都市及び地域計画学修士 | |
平成10年 6月 | ハーバード大学博士 (Doctor of Design) |
職歴 | 昭和58年 4月 | 五洋建設株式会社土木設計部 |
昭和60年 4月 | 同開発本部 | |
平成 2年 7月 | Cooper & Robertson, New York, USA | |
平成 3年 3月 | Regional Plan Association, New York, USA | |
平成 9年 7月 | Thompson Design Group, Boston, USA | |
平成11年 4月 | 九州大学大学院工学研究院准教授 | |
令和 6年 3月 | 九州大学大学院工学研究院准教授退官 | |
令和 6年 5月 | 一般社団法人LSD設立 |
専門分野 | 景観デザイン |
まちづくり |
主な受賞等 | 2021年 | 土木学会デザイン賞奨励賞受賞 受賞対象作品 「線路敷ボードウォーク広場(大分市)」 |
グッドデザイン賞受賞 受賞対象作品 「線路敷ボードウォーク広場(大分市)」 |
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2020年 | 土木学会デザイン賞優秀賞受賞 受賞対象作品 「勘六橋」 |
|
アジア都市景観賞受賞 受賞対象作品 「線路敷ボードウォーク広場(大分市)」 |
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2019年 | 土木学会デザイン賞最優秀賞受賞 受賞対象作品 「津和野川・名賀川河川災害復旧助成事業名賀川工区」 |
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2018年 | 土木学会デザイン賞奨励賞受賞 受賞対象作品 「瀬下排水樋管及び石積み護岸と周辺施設群」 |
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2017年 | 土木学会デザイン賞優秀賞受賞 受賞対象作品 「嘉瀬川ダム」 |
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2009年 | 土木学会デザイン賞最優秀賞受賞 受賞対象作品 「遠賀川 直方の水辺」 |
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2003年 | グッドデザイン賞 受賞対象作品 「西中島橋」 |
1.
風景のとらえ方・つくり方 [2008.11 共立出版]
小林一郎監修/樋口明彦/島谷幸宏/仲間浩一/吉武哲信/柴田久/田中尚人/星野裕司/高尾忠志/石橋知也
2.
定常型都市への模索 地方都市の苦悩(シリーズ都市再生(3)) [2005.07 日本経済表論社]
矢作弘・小泉秀樹編/樋口明彦他共著
3.
川づくりをまちづくりに [2003.12 学芸出版社]
樋口明彦編/糸乗貞喜/今村修三/魚住忠可/喜田正雄/鈴木博史/土谷光憲/本田正明/宮丸正和
4.
日本建築学会編/建築設計資料集成:地域・都市I-プロジェクト編 [2003.9 丸善 p74-77]
5.
都市のデザインマネジメント:アメリカの都市を再編する新しい公共体 [2002.10 学芸出版社]
北沢猛編/樋口明彦/小泉秀樹/星野収/津島暁生/遠藤新/鈴木俊治/村山顕人
6.
都市の記憶:「場所」体験による景観デザインの手法 [1996.07 井上書院]
谷村秀彦/樋口明彦
1.
樋門上屋の設計思想の変遷に関する研究‐筑後川・矢部川を対象として‐ [2009.12 土木学会景観・デザイン研究論文集 no.7]
羽野暁/樋口明彦/荒巻祥大
2.
佐賀平野における地域住民のクリーク景観の捉え方に関する基礎的研究 [2009.12 土木学会景観・デザイン研究論文集 no.7]
林博徳/樋口明彦/高尾忠志/松永千昌
3.
長崎県公共事業等デザイン評価制度の運用上の成果と課題 [2009.12 土木学会景観・デザイン研究論文集 no.7]
吉岡聖貴/樋口明彦/高尾忠志/野口順平/佐藤直之
4.
佐賀平野における歴史的クリークの構造を活かした雨水排水路の試行的築造 [2008.12 土木学会景観・デザイン研究論文集 no.5]
樋口明彦/高尾忠志/林博徳/粟生啓之/時岡克行/久保園宏
5.
Revaluation of Traditional Revetment Work of Historic Creek Systems in Saga Plain [2008.08. Proceedings of International Symposium on Urban Planning 2008, pp.761-768, August 2008.]
樋口明彦/高尾忠志/粟生佳行/林博徳
6.
Revaluation of Traditional Revetment Work of Historic Waterways in Saga Plain [2008.08. International Symposium on City Planning 2008, pp.761-768, August 2006.]
Akihiko Higuchi/Yoshiyuki Aou/Hironori Hayashi/Tadashi Takao
7.
Active Preservation of Historic Bridges by Citizen's Movement in Japan - A Case Study of Chikugogawa Lift Bridge [2008.05. Society for Social Management Systems 2008 - Infrastructure and Environment, pp.761-768, August 2006.]
Midori Enomoto/Akihiko Higuchi/Tadashi Takao
8.
A Case Study on the Preservation Process of Meijibashi Bridge as an Industrial Heritage in Conparison with Chikugo River Lift Bridge [2008.03. Tadashi Takao Society for Social Management Systems 2008 - Infrastructure and Environment, pp.761-768, August 2006.]
Midori Enomoto/Akihiko Higuchi
9.
遠賀川直方地区緩傾斜スロープ高水敷における来場者行動特性 [2007.12]
樋口明彦/田浦扶充子/高尾忠志/佐藤直之/岡本良平
10.
都心街路空間における公園的空間の創出に向けた取組みについてのケーススタディ -札幌市・仙台市・広島市を事例として [2007.12 土木学会景観・デザイン研究論文集 no.3]
樋口明彦/牟田口千尋/真鍋政彦/高尾忠志
11.
地方幹線道路拡幅事業における計画段階から実施段階までの住民参加の効果と課題 -石川県河井町横地線・宇ノ気狩鹿野線を事例として [2007.12 土木学会景観・デザイン研究論文集 no.3]
高尾忠志/野口順平/樋口明彦/榎本碧
12.
唐津市旧城下町地区における山アテ景観阻害要因に関する研究 [2007.10 日本都市計画学会都市計画論文集 no.42-3]
樋口明彦/林慎太郎/高尾忠志/岡本良平
13.
沿線自治体と群成長管理組織の連携によるシーニックバイウエイ景観管理に関する研究 [2007.9 土木計画学研究論文集 vol.24 no.2]
樋口明彦/岡本良平/榎本碧/高尾忠志
14.
リンカーンにおける土地取得による田園景観保全の経緯に関する研究 [2007.3 土木学会景観・デザイン研究論文集]
樋口明彦/高尾忠志
15.
対馬市厳原における歴史的石塀の保全状況と市民意識についての研究 [2007.03 土木学会景観・デザイン研究論文集]
樋口明彦/竹林知樹/石橋知也/伊東和彦/三宅正弘/高尾忠志
16.
ケープコッドコミッションを中心とした群単位での地域成長管理についての考察 [2006.11 日本都市計画学会都市計画論文集]
樋口明彦/高尾忠志
17.
ロングアイランドにおけるピッチパイン樹林地保全を目的としたTDRの運用についての考察 [pp.347-352, October 2006., 2006.10 土木学会環境システム研究論文集 vol.34]
樋口明彦/高尾忠志
18.
Rethinking of downtown public open space policy in Japan: A case study on twelve major cities in Japan [2006.08 Proceedings of International Symposium on Urban Planning 2005, pp.761-768, August 2006.]
樋口明彦/牟田口千尋/眞鍋政彦
19.
ニューヨーク市の3BIDにおける街路景観整備の実態に関する考察 [2006.03 日本造園学会ランドスケープ研究発表論文集 vol.69, no.5, pp.807-812, March, 2006.]
樋口明彦/高尾忠志
20.
Restoration of historic stone landscape in downtown Izuhara, Tsushima [2005.10. Proceedings of International Symposium on Urban Planning 2005, pp.51-63, October 2005.]
樋口明彦/高尾忠志/石橋知也/伊東和彦
21.
可動式歩道橋の景観設計に関する考察‐近年の事例を対象として‐ [2005.10. 日本都市計画学会都市計画論文集 no.40-3, pp.607-612, October 2005.]
樋口明彦/高尾忠志
22.
まちの活性化を促す都市河川整備に関する研究 [2005.10. 土木計画学研論文集, vo.22, no.2, pp.387-396.]
樋口明彦/佐藤直之/高尾忠志
23.
既存コミュニティを貫通する地方幹線道路拡福事業における住民参加に関する研究 [2005.10. 土木計画学研論文集 vo.22, no.2, pp.361-370.]
樋口明彦/吉原真理子/高尾忠志
24.
PC as a Cultural Manifesto of Our Age [2002.01. Proceedings of the first FIB Congress 2002., pp91-92.]
樋口明彦
1.
九州の近代土木遺産展 [2003.09. 河内貯水地堰堤, 西日本新聞]
樋口明彦
2.
九州の近代土木遺産展 [2003.11. 白水堰堤, 西日本新聞]
樋口明彦
3.
平成14年度都市機能評価ベンチマークス検討調査報告書 [2003.03. 国土交通省都市・地域整備局大都市圏整備課]
樋口明彦 他
4.
平成13年度都市機能評価ベンチマークス検討調査報告書 [2002.03. 財団法人建設経済研究所]
ベンチマークス研究会(樋口明彦他)
5.
アーバンデザインの新しい展開:マンハッタンダウンタウン計画 [2001.07. 造景, No.32, 2001, pp110-115]
樋口明彦
6.
アーバンデザインの新しい展開:ロングブランチオーシャンフロントプロジェクト, 造景 [2001.07. No.33, 2001, pp143-147]
樋口明彦
7.
北米マルチメディア産業と今後の都市づくり, 地域開発 [2000.07. vol. 427,pp.17-22]
樋口明彦
8.
筑後川景観設計の手引き [2014.11.]
国土交通省九州地方整備局筑後川河川事務所・九州大学景観研究室編著
9.
土木でのスギ材活用に向けた幾つかの提案:第20回木材工学研究発表会 [2021.9.]
樋口明彦