今年度から新たに
「プロジェクトまちづくり」という講義が開講されました。
建設都市工学コースの学部3年生を対象とした講義です。
景観研が以前よりお世話になっている
九大伊都キャンパスの北に位置する福岡市北崎地区のまちづくり活動に参加させていただきました。
まず初回は、
「北崎という地域を知る」ということで
大学のバスに乗り、小田の福寿寺の平兮さんに北崎を案内していただきました。
北崎地区は
大学から車で約10分、自転車で約20分という近い距離にあるのにもかかわらず
初めて北崎に訪れる学生がほとんどでした。
昔ながらの街並み、漁港、小田観音堂、シェアハウス、東林寺からの眺め、二見ヶ浦など、
限られた時間を最大限に使い、丁寧に案内して下さいました。
第2回目には、
北崎の未来を創る会のメンバーである5人の方々にお越しいただき
北崎の紹介や、まちづくり活動の紹介をしていただきました。
そして40名の学生が3つのチームに分かれました。
第3回目以降は
北崎という地域をより深く知るためにヒアリング調査や文献調査、
北崎の魅力や課題を整理を行い、
自分たちの力で北崎のために何ができるのかを考えました。
3チームとも
いろんなアイディアがでるものの
本当に北崎のためになるのか、一過性のイベントに過ぎないのではないか、と
何度も何度も考え直しました。
考えているうちに、
北崎の方々の思いやニーズ、九大生、九大の留学生の思いなど
分からないことが出てくることもあり、
それを理解するために
再度、アンケート調査やヒアリング調査を行ったチームもありました。
そしてようやく
3チームとも
地域のニーズに応え、かつ今後の北崎のために役立つような取り組みを決定することができました。
チーム1は、
「英語版サイクリングマップ〜KITAZAKI〜」
北崎には何種類もの既存の地図がありますが、英語のものはありませんでした。
日本の自然やサイクリングが好きな外国人、九大の留学生を対象とし、
英語で書かれている地図を新たに作りました。
内容も今までの地図よりももっとおもしろいものを作ろうということで
景色のいいところや、花がきれいなところなどを、自分たちの足で調査しました。
また、親しみをもってもらうために、図も文字も手書きで仕上げました。
このひとつひとつの決め事を、チームみんなで話し合って、議論を重ねていきました。
チーム2は、
「北崎と九大生のアルバイト仲介システム〜北崎Worker〜」
農業、漁業が盛んな北崎では、収穫時期なども繁忙期に人手が足りていないという問題があります。
また、九大生を対象に行ったアンケートの結果、
アルバイトを探している九大生は多く、その中でも北崎での農業、漁業のアルバイトをしてみたいと回答した学生が7割もいました。
アルバイト仲介の制度、条件を調査したり、
先行事例の実施者や、農家の方々へのヒアリング調査を行ったり、
まずは自分たちがということで、参加者を募って農業アルバイトを実施し検証しました。
チーム3は、
「交通安全注意喚起版〜子供たちが安全なまちを目指して〜」
北崎地区には、小学校、中学校がそれぞれ1校ずつあります。
北崎の子供たちが地域に求めていることを調査したところ、
近年、糸島ブームの影響もあり増加した車が危ないという意見を得られました。
地元の皆さんはよく知っている道なので、スピートを出しがちです。
また、農業、漁業関係のトラックがよく通ります。
アンケート調査や話し合いを重ねた結果、
交通安全注意喚起板を作成、設置し、安全なまちになる手助けをしようと決まりました。
メッセージを伝えやすい看板のサイズ、高さ、色、フォント、言葉遣いなどを、
過去の論文などから調査しました。
最終回(7月26日)には、
北崎の公民館で最終発表会を行いました。
北崎にお住いの方々約20名に集まっていただき、
それぞれのチームに対するコメントや評価をいただきました。
中には少々辛口コメントもありましたが、
ほとんどの方が「よく頑張った」と言ってくださり、3年生も喜んでいました。
今学期は、新しい講義ということもあり、
先生方も生徒たちも、手探り状態な部分もありましたが、
各チームが「地域のことを考えること」、「地域の方々と話し合うこと」、「チームの中で議論を深めること」、「先行事例から学ぶこと」など、
この授業ならではの経験、勉強ができたのではないかと思います。
後期にも、別の学生を対象に
「プロジェクトまちづくり」が開講される予定です。